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衆院予算委で、立憲民主党の野田佳彦代表の質問に答弁するため挙手する石破茂首相=2025年2月28日午後2時2分、岩下毅撮影
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 医療費の患者負担に月ごとの限度を設けた「高額療養費制度」の見直しをめぐり、石破茂首相は28日、3段階で予定していた限度額の引き上げについて、第1段階の今夏は実施する一方、26年と27年はいったん凍結し、今秋までに再検討する考えを表明した。「政府として、患者団体を含む関係者の意見を承った上で、改めて方針を検討し決定したい」と述べた。

 衆院予算委員会で、立憲民主党の野田佳彦代表の質問に答えた。患者団体などの声を受け、長期間の治療が必要な人の負担増を見送る方向を示したが、さらに踏み込んだ。一方、野田氏は25年の引き上げを凍結し、患者団体らを交えて1年間協議することを求め、議論は平行線だった。

 第1段階の今夏には、現行の所得区分ごとに2.7~15%の増額を想定。70歳未満の所得区分の場合、限度額の計算のもととなる基準額は8100円増の8万8020円になる。

 首相が「再検討」を表明した26年以降は、現行の5区分を13区分に細かくした上で、基準額を引き上げる方針だった。最終形で真ん中の所得区分となる人は、現行から5万8500円増の13万8600円にする考えだった。

 政府・与党内には全面的な凍結を求める声も強く、今年からの一時凍結も浮上したが、財源確保をめぐる政府内の慎重論もあり、部分的な凍結で決着した。今年分のみ実施する方針について、首相は「(制度)見直しから10年が経っている。その間の経済物価動向の変化を踏まえたものだ」と説明した。

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